吉祥寺にあるライヴハウス「プラネットK」。オープニング15分前に入場したが、店員以外の人間が見当たらない。この恐ろしい状況は、急な時間変更によって多くの「固定客」を失ったことによるのだが……。ハセベ、コイヅカ、僕。下手をするとステージの上と下で人数が揃ってしまいそうだ。そこで1つの提案をしてみた。オープニングの19時までに、あと何人の客が来るか、と。コイヅカ「2人」、ハセベ「3人」、僕「5人」。ハセベ正解。

 なんとかステージ上の倍近くの客が入ったところでライヴスタート。ELEGANT CHAOSは、いつものように先陣を切って登場。これまで1曲目でやってきたインストゥルメンタルの「ファミコンパンク(のテーマ)」は、時間の関係で今回は抜きとなり、「サイレン」から始まった。ライヴ前にDr.サトウ“キャスター・マイルド”ユウが言っていたとおり、音響は過去最高。こもらないし、割れない。僕のような素人でも分かるぐらいに、そのパフォーマンスは違った。今日はそういう意味でも、とても「もったいない」と思う。この音で聴いた方が良いし、聴いてもらった方が良いから。しかし、なぜ1桁……。

 1曲目が違ったせいか、客が少なかったせいか、音響が良かったせいか、バンドに何か違いがあったのか。理由がはっきりとはしないのだが、いつもよりはるかにアグレッシブな印象があった。まるで何事か不利な局面から力尽くで這い上がるような。しかし、アグレッシブと言っても、この場合は、その言葉にスピード感はない。実際に見たことはないが、隕石が大気圏に突入して燃える様子は、とてつもないスピードでありながら、比較的ゆっくりと見える。

 また、そこには3人の一体感のようなものが強く感じられた(僕自身が彼らを徐々に知るようになっているからなのかもしれないが)。それは、本来なら最初に感じるべきものかもしれないが、僕の場合は、正直に言って今回になって初めて感じたことだ。Dr.サトウ“キャスター・マイルド”ユウの叫び声は、客に対してでなくバンド自体に勢いをつけるようで、呼応して3人のパフォーマンスが輝きを増すように感じた。「空走距離」では、vo/g.ハタにアドリブらしき動きが見受けられた。それにしても、この曲はライヴの度に調子が変わっている。なにせ、最初は「ウーロン茶、でもコーヒー。ウーロン茶でもコーヒーでもない……」という意味不明な歌詞だったということもあるぐらいだ(吉祥寺 「シルバー・エレファント」)。そして最後は、いつもどおりにb.フジイ“8メガ・オブ・ザ・イヤー”マサクニの曲名紹介で始まる「ロックンロール・テキスト」で締め。今回のイベントのラストで妙に踊り狂っていた女性2名に捧げたい、という意味では最高の(ライヴ)“ラスト”ナンバー。

 そして、オーディションの結果待ちのために全バンド(計5バンド)の曲を聴いてみた。全バンドを通じての感想は、「腹から声の出ない奴に勝ち目はない」ということ。音にかき消されて客には届かなかった声には、一体どんな言葉があったのだろうか。声は1つの楽器だと思う。だから、それも届けて欲しい。ハタの声をもっとはっきり聴きたいし、フジイの声ももっと聴きたい。きっと、まだまだ良くなっていくのではないか。偉そうにも、そんなことを思ってしまうので、僕はまた足を運ぶだろう。

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