修行僧のような人に会った。“一時代を築いた”と言われる現役のキックボクサーだ。出会ったことのない、引き込まれるような眼だった。僕が投げかける質問にボソボソと答えてくれる声も、どこか異質な感じがした。

 予定より早く現れた彼は、午後5時ぴったりに前日計量を終え、足早に消えていった。急きょの試合出場で過酷な減量をしたに違いなく、内面では気持ちが張り詰めているだろう。しかし、それ以上に何かに対して「我慢できない」という気持ちを持っているように見えた。

 出場の理由は「とにかく試合がしたかったから」だと言う。彼が全精力を引き絞って放つ力は、どんなに印象的なのだろうか。残念ながら明日は、かなわないが、ぜひ見てみたい。残された時間は長くない気もするから……。

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