夕方からの出社前、知人の妹さんにWWEのチケットを渡してお金を受け取った僕は、本屋に立ち寄った。黒地に白い文字で「死にぞこない」と書かれた2000円弱の本を買って店を出た。キックボクサー立嶋篤史の2冊目の自伝だ。

 同じ会社の人間がだれもいなくなったオフィスを後にして、最終電車に乗り、本を開いた。ドキッとする一言があった。立嶋と親交のあるプロボクサー、辰吉丈一郎の話が書かれている部分にこんなくだりが載っている。辰吉に会いに行く立嶋に親戚が土産を持たせたところ、親戚と電話をしている立嶋に辰吉が「代わってくれ」と頼み、親戚に礼を言った。そこで「礼は直接言わないと失礼やから」と言ったという。

 僕の胸を突き刺したのは「そうだ、礼は直接言わないと」ということではない。「自分の“正義”を守らなければ」ということを思い出したのだ。ザ・ブルーハーツの「緑のハッパ」という曲にある「ルール破っても まあまあ マナーは守るぜ まあまあ」という歌詞がこれを言い得ている。「常識」という一括りの言葉で共有するのは無理だけれど、その分、自分なりのマナーは守りたい。

 他人にどうこう言うのは、それからだ。

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