遊歩道という名の険しき道 【5月13日(金)】
2005年5月13日
この先は長い。気力のある者だけが読むべし。
朝食後に向かった先は、鬼怒川温泉駅前の船乗り場である。鬼怒川のライン下りに乗ってみることにした。平日の朝一番、午前9時の船には当初、僕以外の乗船客は見当たらなかった。ところが、乗船時間の直前になると、小学生の大群が僕を囲った。船は2隻。船頭さんの指示により、僕は船の一番前に乗ることになった。隣は校長先生、後ろは小学生。一番前の役割は波しぶき避けのシートの上げ下げだ。僕は引率の先生ではない。集合写真に僕を入れないでくれないか……(集合写真を買う人は○を付けるシートを僕に回さないでくれないか)。
そんなこんなで川面に揺れて景色を楽しんだ。帰りは鬼怒川温泉駅まで無料バスが出るはずだった。ところが、小学生御一行様は、この後専用バスで日光江戸村へ向かうという。残る客は僕一人。バスは出なかった。その代わり、僕は船頭さんたちが戻る車に乗せられた。今度は船頭さんに囲まれることになった。人気者は大変だぜ、とでも思うしかなかった。車中、船頭さんたちは「LOTO6は、やらせじゃろ」という話題で盛り上がっていた。
そんなこんなで鬼怒川温泉駅に戻ったが、次の目的地に向かう電車の発車時刻は40分後だった。売店で“知る人ぞ知る”ジョージアのマックスコーヒーと日刊スポーツを買って時間を潰した。次に向かった先は、龍王峡。鬼怒川の流れが長い年月にわたって火山岩を侵食し、龍の姿を思わせる形になったという景観地だ。この日、朝風呂を楽しまなかったのは、この場所を楽しむためだった。雨男の僕は、またも降雨に見舞われた。自然の力はナメてかかれない。雨がひどくなってしまったら、川沿いを楽しむことは避けなければならない。だから、ここへ来ることを急いだのだった。
そんなこんなで龍王峡から散策コースを歩いてみることにした。お茶屋のおじさんとしばし談笑をしてから、川沿いへと降りていく。いきなり現れた「虹見の滝」は見事だった。その後も、僕は川の龍の背を遡るように、上流へと向かっていった。予定外の散策のためトレッキングシューズを履いておらず、岩を踏むと、足の裏が少し痛かった。途中、植物や景色を楽しんでいたおばちゃん2人組と歓談をしたりしながら、一般的なコースである「むささび橋巡回コース」の往路を終えた。
そんなこんなで、おばちゃんたちは復路へと折り返したが、僕はそのまま突き進んだ。目指すは川治温泉岩風呂までの6キロコース走破である。ところが、これが思った以上に困難だった。ただ一人、折り返し地点を無視して突き進んだが、道が分からないのだ。時折、目印らしきものが付いているが、天気も悪く薄暗いため、よく見えない。「遊歩道」は、一気に険しい道へと姿を変えたのだった。一歩間違えて河原へ降りて進めば、断崖絶壁続きで上へ登れない。仕方なく引き返し、元の道を探して山を歩く。人生、山があったら乗り越えろという教訓か、道悪のアップダウンは、ひざに堪えた。しかし、ここまで来たら「行くも千里、戻るも千里」(「未ダ未ダヨ」/eastern youth)である。道なき道を探り、地道に進んでいった。
そんなこんなで山道を抜けたが、いきなり車道に出てしまった。右はトンネル、左もトンネル。標識皆無。これまた迷ったら自分の思う方に賭けろということなのか。方角的に正解と思われる右のトンネルへと足を踏み入れた。薄暗いトンネルを一人で歩くのは、恐怖感が伴う。「オレは大丈夫」と根拠のない自信を振り絞る。なるほど、この感情はこういう時に使うものなのか。トンネルを抜けると川治温泉駅までの標識が現れた。しかし、いい加減に足が痛い。集中力が途切れたのか、僕は道を間違えて川治温泉岩風呂ではなく、川治温泉駅にたどり着いてしまった。雨も降っているし、折り返すのも面倒だ。時間的に変わらなければ、1駅ぐらいなら電車に乗ってもいいかと考えた。ところが、女性の駅員さんに聞くと「歩いて25分」だという。次の電車が来るのは30分後。人生、楽はためにならないらしい。
そんなこんなで、さすがに引き返すのは面倒なので、違う道を選んで目的地へと向かうことにした。ところが、である。駅員さんと歓談後、傘を持っていきなさいという親切を一度は振り切って駅を出たのだが、なんと雨がひどくなっているではないか。この雨の中を25分、傘もささずに歩けば体がダメージを負うのは確実だ。急いで駅に引き返し「すいません、やっぱり傘もらっていいですか?」と言ったら、駅員さんは大笑いで傘をくれた(タダで)。透明の100円傘を手に、川治温泉岩風呂へと歩を進めた。
そんなこんなで、ようやく目的地に到着。寄り道と軽い遭難(?)もあって、時計は、散策コース出発から2時間半後の14時半を示していた。パンフレットには6キロコース3時間と書いてあったので、これでも比較的いいペースで来ることができたようだ。まあ、そんなことはどうでもいい。とりあえず、岩風呂で歩き疲れた体を癒す。川沿いの露天風呂で、お爺さんと話をしながら、ゆっくりと温まった。お湯から上がったら、川治湯元駅へ。またも次の電車まで40分あるので、駅前に1軒だけある小さな喫茶店で食事をとる。お婆ちゃんがサツマイモのレモン煮をおまけにつけてくれた。忘れ物をするとそう簡単には取りに戻れない場所柄から、お婆ちゃんはしきりに忘れ物がないかと聞いてきた。「あとはお金を払うのを忘れないようにするだけです」と答えたら「それはしっかり請求しますよ」と笑ってくれた。なかなかイカしたお婆ちゃんだった。
そんなこんなで鬼怒川・川治ラインを終了。電車で会津若松へと向かうことにした。鈍行列車に1時間ほど揺られ、到着。駅舎の中の店で夕飯。地鶏丼を平らげた。お店のお姉さんが可愛かった。食事後、しばし長居をさせてもらい、宿泊地確保のため電話攻勢。東山温泉の宿に泊まろうと考えたが、値段が高過ぎる+1人宿泊お断りが多い、のダブルパンチで断念。駅近くのビジネスホテルに5000円で素泊まりすることにした。
そんなこんなで、ボロいホテルに到着。さすがに疲れてクタクタだ。明日の行動予定だけ決めて、今日は早く寝ようかな。
<おまけ:全部お読みになった方へ>
お疲れ様でした〜。
朝食後に向かった先は、鬼怒川温泉駅前の船乗り場である。鬼怒川のライン下りに乗ってみることにした。平日の朝一番、午前9時の船には当初、僕以外の乗船客は見当たらなかった。ところが、乗船時間の直前になると、小学生の大群が僕を囲った。船は2隻。船頭さんの指示により、僕は船の一番前に乗ることになった。隣は校長先生、後ろは小学生。一番前の役割は波しぶき避けのシートの上げ下げだ。僕は引率の先生ではない。集合写真に僕を入れないでくれないか……(集合写真を買う人は○を付けるシートを僕に回さないでくれないか)。
そんなこんなで川面に揺れて景色を楽しんだ。帰りは鬼怒川温泉駅まで無料バスが出るはずだった。ところが、小学生御一行様は、この後専用バスで日光江戸村へ向かうという。残る客は僕一人。バスは出なかった。その代わり、僕は船頭さんたちが戻る車に乗せられた。今度は船頭さんに囲まれることになった。人気者は大変だぜ、とでも思うしかなかった。車中、船頭さんたちは「LOTO6は、やらせじゃろ」という話題で盛り上がっていた。
そんなこんなで鬼怒川温泉駅に戻ったが、次の目的地に向かう電車の発車時刻は40分後だった。売店で“知る人ぞ知る”ジョージアのマックスコーヒーと日刊スポーツを買って時間を潰した。次に向かった先は、龍王峡。鬼怒川の流れが長い年月にわたって火山岩を侵食し、龍の姿を思わせる形になったという景観地だ。この日、朝風呂を楽しまなかったのは、この場所を楽しむためだった。雨男の僕は、またも降雨に見舞われた。自然の力はナメてかかれない。雨がひどくなってしまったら、川沿いを楽しむことは避けなければならない。だから、ここへ来ることを急いだのだった。
そんなこんなで龍王峡から散策コースを歩いてみることにした。お茶屋のおじさんとしばし談笑をしてから、川沿いへと降りていく。いきなり現れた「虹見の滝」は見事だった。その後も、僕は川の龍の背を遡るように、上流へと向かっていった。予定外の散策のためトレッキングシューズを履いておらず、岩を踏むと、足の裏が少し痛かった。途中、植物や景色を楽しんでいたおばちゃん2人組と歓談をしたりしながら、一般的なコースである「むささび橋巡回コース」の往路を終えた。
そんなこんなで、おばちゃんたちは復路へと折り返したが、僕はそのまま突き進んだ。目指すは川治温泉岩風呂までの6キロコース走破である。ところが、これが思った以上に困難だった。ただ一人、折り返し地点を無視して突き進んだが、道が分からないのだ。時折、目印らしきものが付いているが、天気も悪く薄暗いため、よく見えない。「遊歩道」は、一気に険しい道へと姿を変えたのだった。一歩間違えて河原へ降りて進めば、断崖絶壁続きで上へ登れない。仕方なく引き返し、元の道を探して山を歩く。人生、山があったら乗り越えろという教訓か、道悪のアップダウンは、ひざに堪えた。しかし、ここまで来たら「行くも千里、戻るも千里」(「未ダ未ダヨ」/eastern youth)である。道なき道を探り、地道に進んでいった。
そんなこんなで山道を抜けたが、いきなり車道に出てしまった。右はトンネル、左もトンネル。標識皆無。これまた迷ったら自分の思う方に賭けろということなのか。方角的に正解と思われる右のトンネルへと足を踏み入れた。薄暗いトンネルを一人で歩くのは、恐怖感が伴う。「オレは大丈夫」と根拠のない自信を振り絞る。なるほど、この感情はこういう時に使うものなのか。トンネルを抜けると川治温泉駅までの標識が現れた。しかし、いい加減に足が痛い。集中力が途切れたのか、僕は道を間違えて川治温泉岩風呂ではなく、川治温泉駅にたどり着いてしまった。雨も降っているし、折り返すのも面倒だ。時間的に変わらなければ、1駅ぐらいなら電車に乗ってもいいかと考えた。ところが、女性の駅員さんに聞くと「歩いて25分」だという。次の電車が来るのは30分後。人生、楽はためにならないらしい。
そんなこんなで、さすがに引き返すのは面倒なので、違う道を選んで目的地へと向かうことにした。ところが、である。駅員さんと歓談後、傘を持っていきなさいという親切を一度は振り切って駅を出たのだが、なんと雨がひどくなっているではないか。この雨の中を25分、傘もささずに歩けば体がダメージを負うのは確実だ。急いで駅に引き返し「すいません、やっぱり傘もらっていいですか?」と言ったら、駅員さんは大笑いで傘をくれた(タダで)。透明の100円傘を手に、川治温泉岩風呂へと歩を進めた。
そんなこんなで、ようやく目的地に到着。寄り道と軽い遭難(?)もあって、時計は、散策コース出発から2時間半後の14時半を示していた。パンフレットには6キロコース3時間と書いてあったので、これでも比較的いいペースで来ることができたようだ。まあ、そんなことはどうでもいい。とりあえず、岩風呂で歩き疲れた体を癒す。川沿いの露天風呂で、お爺さんと話をしながら、ゆっくりと温まった。お湯から上がったら、川治湯元駅へ。またも次の電車まで40分あるので、駅前に1軒だけある小さな喫茶店で食事をとる。お婆ちゃんがサツマイモのレモン煮をおまけにつけてくれた。忘れ物をするとそう簡単には取りに戻れない場所柄から、お婆ちゃんはしきりに忘れ物がないかと聞いてきた。「あとはお金を払うのを忘れないようにするだけです」と答えたら「それはしっかり請求しますよ」と笑ってくれた。なかなかイカしたお婆ちゃんだった。
そんなこんなで鬼怒川・川治ラインを終了。電車で会津若松へと向かうことにした。鈍行列車に1時間ほど揺られ、到着。駅舎の中の店で夕飯。地鶏丼を平らげた。お店のお姉さんが可愛かった。食事後、しばし長居をさせてもらい、宿泊地確保のため電話攻勢。東山温泉の宿に泊まろうと考えたが、値段が高過ぎる+1人宿泊お断りが多い、のダブルパンチで断念。駅近くのビジネスホテルに5000円で素泊まりすることにした。
そんなこんなで、ボロいホテルに到着。さすがに疲れてクタクタだ。明日の行動予定だけ決めて、今日は早く寝ようかな。
<おまけ:全部お読みになった方へ>
お疲れ様でした〜。
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