生意気な僕はよく「自分ができるわけじゃないのに偉そうに言うな」という言葉を浴びせられる。最近では少なくなったが、ただ発声が視線に変わっただけのことだ。

 きっと初めてそんなことを言われた時の記憶。「その考えは、もっともらしく聞こえるけど何か納得がいかない」という思い。悔し紛れではなく、言い訳ではなく、そう思った。だから考えた。「なぜ自分は、できない者が偉そうに言うことを間違っていないと思うのか」と。

 答えは「期待があるから」だった。僕にできることならば、他人にできようができまいが、どうでもいいことである。僕がやればいいだけのことなのだから。僕にはできず、だれかにはできそうなこと。それが、知り得る世界に存在する彼の“アイデンティティー”である。僕の価値観で言えば「生きる価値」。

 そんなものは要らないと思われるならば、それはそれまでのこと。彼は僕の世界で生きる価値を持たず、また僕も彼の世界から排除されることだろう。

 確かに言い方は色々ある。でも僕は「できないから、言う」。

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