「ちょろちょろ走るキュートな車」――略して「チョロQ」。僕が生まれた年に、タカラ社が発売したぜんまい式自動車玩具である。小学校の低学年の頃、従兄弟の“あっちゃん”がたくさん持っていたのを記憶している。僕はその中からいくつかをもらって遊んでいた。お気に入りは、コミック『よろしくメカドッグ』仕様のものだった。

 この日記で何度か登場している従兄弟の“あっちゃん”は、タレントの吉沢悠にそっくりの甘いマスクと、東京都で名門として知られる修徳高校サッカー部で1年生から試合に出場した運動神経を持ち合わせており、特に子どもの頃は、その運動能力とともに器用さが目立った。プラモデルなどは得意中の得意で、以前にも書いたが、ガンダムのモビルスーツをかたどった消しゴムに関しては、塗装と一部のゴムの付け替えだけでザクをガンダムにしてしまうような“職人”だった。

 そんな“あっちゃん”が、チョロQを普通に走らせるだけで満足するはずがなく、やはり分解してはシャーシとボディを取り替えたり、ぜんまいの交換をしたりしていた。そして、どうやらぜんまいに関しては「白いぜんまいより、青いぜんまいの方が速く、最も速いのは黒いぜんまいだ」という知識を有したようだった。僕がチョロQを見るとぜんまい仕掛けの“モーター部”の色を確かめるのは“あっちゃん”の「ブラックモーターが一番速いんだぞ」という言葉をずっと覚えているからである。

 さて、話は変わるが、今日は2日ぶりに横浜へ行って来た。もちろん、またも結婚式ということではなく、あるサッカーチームの会見を取材しに行ったのだ(僕が応援しているチームでもある)。会場へ着くと、資料と一緒に“お土産”を渡された。その中に、チームデザインのチョロQがあった。たったそれだけのことが嬉しく感じられ、ふと思い出した「チョロQ話」を綴ってみたという次第である。

 ちなみに“あっちゃん”に関しては、グレて高校を中退した話や、交通事故で目を悪くした話などもあるが、今では建築関係の仕事をする2児の父親である。僕は会ったことがないのだが、奥さんも顔立ちがよく、美男美女の夫婦だということだ(再婚だけどね)。チョロQを見て、もっとも興味を持ったのは、ぜんまいの色ではなく、相当長らく会っていない“あっちゃん”である。今度、遊びに行ってみようかなどと思ったりもした。

 たかがチョロQ、されどチョロQである。

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