「疾走」 【4月7日(金)】
 作り話のくせに、悲しい話。「ひとり」を何度も繰り返す物語。

 いかにも劇的に、突き動かす話。シュウジと自分を重ねる時間。

 歪んだセックスと、どこかにある殺人犯の伝え。作られた最後の瞬間。

 現実に戻されていく。ゆっくりと戻っていく。ゆっくりとしか戻れない。

 ひどく疲れる話。言葉が短くなっていく。涙は、出ない。

 朝が来ればまた、いつもがやってきて、物語は遠ざかる。

 ほかの本を読む。きっとたくさん忘れる。震えることもない。

 描かれた世界は、遠いようで近く、やはり少し遠い。

 自分が壊れた時、自分にその認識はあるのだろうか。

 見えない気がしてならない。いかにしても、見えない気が、する。

 壊れたくないと毎日思う。たまには、壊れたいとも思う。

 ただ、甘えられる場所がもうない。何も傷つけないことは、もうできない。

 言葉は世界を生み、世界で言葉で無力。顔をよく動かす意味を知った気分。

 映像は見たくない。僕の頭のどこかに、時々、ふと、描かれる、だろう。

 現実でないことを、今は願う。俺に。俺は生きる、べきだから。

 寂しいのだと、知った。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索