合気道ショット 【6月9日(金)】
2006年6月9日 世の中に「合気道」という武術がある。テレビなどで見ると、ひ弱そうな爺さんが屈強な男を次々に投げ倒したりする。それが“ガチンコ”なのか“ヤラセ”なのかは知らないが、相手の力を利する動きというのは、どんな場合にも存在すると思う。言ってみれば「カウンター」というものは、この種類に含まれるものだろう。
昨夜は、テニス全仏オープンの女子シングルス準決勝をテレビで見た。パワーに勝るクライシュテルスに対し、小柄なエナン・アーデンが巧みなストロークで対抗して勝った。シングル(片手)のバックハンドをうまく打ち分けるショットが特徴的だが、それ以上に攻められた際の受け方に興味をそそられる。
テニスについて詳しいわけではないが、見ている限り、片方がコートの中央に近い位置に立ち、もう片方が左右へ動かされる展開になると、ミスが出ない限り逆転は難しいようだ。ボールに追いつくだけでなく、しっかりとしたショットを返さなければ、さらに動かされるようなショットが返ってくるからだ。ところが、エナン・アーデンの場合は「ようやくボールに追いついた」状態ながら、相手がフルパワーで攻められないようなボールを返す。しっかりとラケットを振っているわけではないのに、ラケットの角度や、当てるスピードやタイミング――そうした細かい点の工夫に神経を注いでいるように見受けられる。フルパワーで攻めるには「ちょっと打ちづらい」ショットを返すことで、結果として、相手は攻め崩したはずの展開であるにも関わらず「これで仕留めなければいけない」という焦りを抱きがちになる。
相手のショットに微妙な変化を持たせる返球が、彼女を勝利に導く先導役だったように思う。決して大げさではなく、そのショットは合気道を彷彿とさせる。テニスでは、ボクシングのようなド派手なカウンターはあまり見られないが(時折ネット際の攻防ではあるが)、こうした返球もまた一つの芸術性を帯びているように感じられて、好きだ。
昨夜は、テニス全仏オープンの女子シングルス準決勝をテレビで見た。パワーに勝るクライシュテルスに対し、小柄なエナン・アーデンが巧みなストロークで対抗して勝った。シングル(片手)のバックハンドをうまく打ち分けるショットが特徴的だが、それ以上に攻められた際の受け方に興味をそそられる。
テニスについて詳しいわけではないが、見ている限り、片方がコートの中央に近い位置に立ち、もう片方が左右へ動かされる展開になると、ミスが出ない限り逆転は難しいようだ。ボールに追いつくだけでなく、しっかりとしたショットを返さなければ、さらに動かされるようなショットが返ってくるからだ。ところが、エナン・アーデンの場合は「ようやくボールに追いついた」状態ながら、相手がフルパワーで攻められないようなボールを返す。しっかりとラケットを振っているわけではないのに、ラケットの角度や、当てるスピードやタイミング――そうした細かい点の工夫に神経を注いでいるように見受けられる。フルパワーで攻めるには「ちょっと打ちづらい」ショットを返すことで、結果として、相手は攻め崩したはずの展開であるにも関わらず「これで仕留めなければいけない」という焦りを抱きがちになる。
相手のショットに微妙な変化を持たせる返球が、彼女を勝利に導く先導役だったように思う。決して大げさではなく、そのショットは合気道を彷彿とさせる。テニスでは、ボクシングのようなド派手なカウンターはあまり見られないが(時折ネット際の攻防ではあるが)、こうした返球もまた一つの芸術性を帯びているように感じられて、好きだ。
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