夜中に震えた電話は、後輩からのものだった。スタジオに入り、音源を作ったから聴いてみてくれという話だ。かつて弾き語りを見せてもらったから、どんな曲かは知っている。フレーズも歌詞も大体覚えている。ドラマーを目指していた男のギターは、心境をよく表す音をしていたと記憶している。

 聴いてもいないうちから多くは言いたくないが、きっと彼はまだ出口に手をかけただけに過ぎない。それは曲の出来栄えの問題ではない。だが、突破口は力任せにこじ開けていいと思う。迷惑も省みずに光の予感に突き進むといい。「分かったようなこと」を言っていると感じるだろうか。オレは誰にどう思われても構わない。彼が得意とする身内自慢の中にいたいと思うこともない。「お前にオレの何が分かる?」と言われても、どうにも答えようがない。オレは正解なんて求めていない。ただ、自分の感覚に確信を持つだけだ。

 オレは新しいスタートを切った。さあ、みんな付いて来い。オレはみんなの良さを知っているぜ、そしてオレが大好きなものをお前も味わってくれ――好き放題に暴れ回るといい。自分にとっての正解は、自分が信じた道からしか得られない。

 この日記を読んでいる人にとって、今オレが書いたことは「意味が分からない話」だろうか。それとも「むかつく話」だろうか。どちらでも構わないのだ。オレは、お前の身内自慢の外側にいる。それは冷たいことだと思わない。それがオレのやり方だ。オレはきっと不快を感じることだろう。でも、お前はオレに構うことはない。邪魔をしたいが、したくはないのだ。オレの言っていることが分かるか。きっと、とんでもない勘違いの「分かっている」なんだろうな。こりゃ、だれが悪いんだかね。ただ、ウソはつきたくねえんだ、極力。

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