最終学歴は、S大学文学部国文学科卒。つい最近まで小説など読んだこともなかった僕が書くと、まるでリアルなギャグである。「どの作品が“推理小説”であるかの判別は難しいが、自分が推理小説だと思うものについてリポートを書きなさい」という夏休みの課題で、僕が取り上げたのは競馬新聞だった。翌年の夏の課題では「あくまで、きちんとした小説が対象」と注意事項が加わっていた。そんな僕が今読んでいるのは、宮沢賢治だ。さすがに有名な作品の名前は知っている。小学校の教科書に載っていた部分は、目にした覚えもある。だが、彼の作品について何を語ることもできはしない。大学を卒業して5年目にして、初めて読んだのだ。

 驚いたのは“くらむぼん”が笑ったことではない。くらむぼんはなぜ笑ったの。分からない。小学生の時にゲラゲラ笑った、その不可解な言葉が、頭の中にしっかりと世界を描いたことだ。それから、「言葉でメシを食う」と高校生の時から言っている僕のセリフがバカバカしくなるぐらい、言葉は自由だと感じられた。まだ読んでいる途中だが、『風の又三郎』は、顔がニヤニヤしてしまって仕方がなかった。楽しい。「賢治、すげえじゃん」と友達なら言いたい。まだ知らぬものが多くあるとは理解しながらも、僕はこんなに楽しい言葉を、ほかに知らない。とっくに死んでしまっているが、とても楽しい人を見つけてしまった。

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