魚、好きですか。いろいろな魚があるし、さまざまな食べ方がある。煮魚もあれば、照り焼きも塩焼きもミソ煮もある。その中で一番好きなのは、刺身。これは魚に限らず肉でも同じだが、質の良いものは“生もの”が一番美味しいというのが持論だ。といっても、実はどんな食べ方が美味しいのかを聞いたいわけではないので、少し話題を変える。

 言葉にもいろいろな調理法があるのだと、僕は思う。テンイチ(天下一品)のラーメンじゃないけれど、さっぱりもあれば、こってりもある。うまいのもあれば、まずいのもある。辛口もあれば、甘ったるいのもある。仕事柄、僕は時々、本物の言葉のシェフだと思う人たちに出会う。今は、ともに息子が僕と同じくらいだという2人に惹かれている。彼らの文章は、優れた素材の味がそのままする。恐れ多くもわきまえることを知らない僕は、自分の文章を並べてみる。すると、今まで気にならなかったのが嘘のように、着色料と調味料の味を感じるのだ。とても生では食べられない、質の落ちた魚のようなのだ。

 ともすれば、少なからず美味しいと言ってくれた人たちは何だろうかと思いつつも、申し訳ない気持ちに包まれる。髪型だけは昔から板前のようだが、まだまだ言葉の寿司は握れなさそうだ。まかないの仕事はまだ続く。

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