新宿駅から小田急線の各駅停車に乗り込む。まだ空いているうちに、ドア近くの席に腰掛けた。発車間際になってから、年輩の女性が近くへやってきた。どうやら、ドア付近に立っている男性の知り合いのようだ。携帯電話をポケットへ仕舞い、宮沢賢治の小説を読むことにした。電車が揺れる度、小説の中にはない擬音語が耳に障る。アハハン、ウフフン。残念ながら車内は明るく、それほど騒がしくもない。確実に読んだ覚えがある場面まで視線を戻して読み直す。アハハン、ウフフン。文字に酔ったわけではないが、気持ち悪くなってきた。それでも電車は律儀に一つ一つの駅で停まり、仕事をこなす。梅が丘で隣の席の人が降り、別の男性が座った。そしていきなり「でもでもでも〜」と、なぜか会社のうっとうしい女の声に似た音を撒き散らす。もうダメだ、吐いてしまいそうだ……。あまりにも辛くなった時、目的地の到着を告げるアナウンスが流れた。とにかく電車を降りたい一心で、ホームへ着く前に席を立った。やはり、僕にはヘッドホンステレオが必要なのだ。冷えた空気を浴びながら階段を降り、改札を出る。充電器を忘れた自分を反省しながら、呼吸を整えた。はあああああああああああ。

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