「絵の具」とは、よくできた名前だ。彼との付き合いは、きっと中学校で途切れたままだ。絵心のない僕は、強制でもされない限り、絵を描かない。だから、彼らを目にする機会もないのだ。

 そんな僕がふと彼らを思い出したのは、色彩感覚のコンプレックスが時折呼び起こされるためである。色をイメージして伝えようとする時、僕の口からは原色が飛び出す。だが、言語の表現はもっと自由だ。

 いつか、絵の具に、自分の知らない名前の色を見つけたことは、今でも覚えている。「朱色」と「やまぶき色」は、僕の知識のリストにはなかった。どんな色かと楽しみにして絵の具を搾り出すと、それは「赤色」と「黄色」だった。新しいものを覚えるのでなく、知っているものに当てはめる感覚が勝ってしまう保守的な潜在的性格が、色彩感覚ひいては色彩の言語表現を育てる機会を放棄してしまったのだ。

 以降、僕は新しい色を覚えるのが苦手なままだ。真島昌利は「ライラック色」と歌うが、僕は調べなければ分からない、悲しいセンスの持ち主なのである。

色 いろいろ 鉛色 、 灰色 鉄色 ねずみ色 、 グレー 銀色 メタルカラー 、 白と黒と間色 色 いろいろ

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