おかまのこゆび 【6月23日(土)】
2007年6月23日 他人の目が気になる。だれにでもそんな経験があるだろう。だが、自意識が強い人であっても“おかま”ほど、じろじろと見られることはないのではないか。僕が乗り合わせた都営大江戸線の車両に、長身で金髪のおかまが乗って来た。ここでは彼女という代名詞を使おう。乗客は彼女に視線を向けては、友人と目を合わせ、何事かヒソヒソと話しては、また彼女の身体をなめるように見回す。そして、一つ一つの違和感を確実に捉えていく。先ほど金髪で長身と書いたように、僕も同じような視線を向けた一人だ。
ヘソ出しルックで、彼女は最近の流行に合わせたスキニーデニムを履いていた。脚は長く、細い。「やだ、あの人、おかまよ」とでもいうような顔を、彼女の背中側で見せていた女性よりも、はるかに美しい足だ。僕に女装の趣味はない。だから「もっとこうしたら、ああしたら」という感覚はない。だが、そんな僕でも、いかにも男らしい体格と顔立ちでありながら美しさを意識したのであろう痕跡が彼女には見受けられた。それは、一種の感心をもたらすものでさえあった。
しかし、同時に彼女の苦労の痕も、僕は見つけてしまった。デニムの生地がすぼまって行く先、かかとが少し高くなっているサンダルの上に乗った彼女の足。爪にはペディキュアが塗られている。しかし、両足の小指だけはサンダルの帯に納まりきることができず、悲しく帯の外側に添えられているのだ。
おかまのこゆびは、かくもつつましやかに。
ヘソ出しルックで、彼女は最近の流行に合わせたスキニーデニムを履いていた。脚は長く、細い。「やだ、あの人、おかまよ」とでもいうような顔を、彼女の背中側で見せていた女性よりも、はるかに美しい足だ。僕に女装の趣味はない。だから「もっとこうしたら、ああしたら」という感覚はない。だが、そんな僕でも、いかにも男らしい体格と顔立ちでありながら美しさを意識したのであろう痕跡が彼女には見受けられた。それは、一種の感心をもたらすものでさえあった。
しかし、同時に彼女の苦労の痕も、僕は見つけてしまった。デニムの生地がすぼまって行く先、かかとが少し高くなっているサンダルの上に乗った彼女の足。爪にはペディキュアが塗られている。しかし、両足の小指だけはサンダルの帯に納まりきることができず、悲しく帯の外側に添えられているのだ。
おかまのこゆびは、かくもつつましやかに。
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